介護業界では、2025年問題と2040問題という2つの大きな問題を抱えています。2025年問題は、800万人以上いると言われる団塊の世代が75才以上の後期高齢者になり、全人口の3割を後期高齢者が占めて高齢化の傾向が強まることです。この傾向が続き、後期高齢者が全人口の35パーセントとなって高齢者の割合が頂点に達するという2040年問題が生じます。これだけ高齢者が増えた社会は、社会保障の持続が難しくなるでしょう。高齢者が増えるだけでなく、高齢者の生活を支える若年層の人口が大幅に減少するからです。

これは、介護を受ける高齢者は増えるのに、介護職員の確保が困難になるということを意味します。現体制のままでは、介護サービスのクオリティを維持することが難しいでしょう。そこで、2040年問題を見据えた対策が必要です。まず、介護職員が食事から入浴まで全ての業務を一手に引き受けるのではなく、業務を分散して多様な勤務形態が可能になるような変革を求められるでしょう。食事専門のスタッフや入浴介助専門の職員など、短時間だけ介護に部分的に関わる人が増えれば、従来のような介助職員にかかる過重負担を減らせます。

また、AIの導入も喫緊の課題と言えるでしょう。介護施設の居室に動体センサーを設置し、居住者の動きを把握できれば、徘徊による行方不明といった事故を防げます。24時間体制の介護施設では、夜勤の職員が見回りをしなければなりませんが、こうした業務を簡略化できるのです。また、移動や入浴など介護職員の身体に負担がかかる作業を楽にするため、介護ロボットの導入も欠かせません。介護ロボットへの期待は、こちらのサイトにあるように今後より高まってくるでしょう。